就職氷河期世代おひとり様のひとり言

50代未婚。田舎の実家に高齢の両親を残し、都会で独り暮らししながら運送会社に勤務。年収300万円未満。近い将来親の介護で離職してたちまち貧困に陥るのではないか、あるいはもっと先には誰にも看取られず寂しい孤独死が待っているのではないかと常に不安を抱いている団塊ジュニア世代。

氷河期世代はオニヤンマになるな 一人で頑張る人ほど老後が危ない


氷河期世代はオニヤンマになるな――強者の生存戦略が弱者を追い詰める理由

昭和46年(1971年)生まれ、団塊ジュニア世代。

老後まであと10年ほど。

今日も愛知県の片隅で4トントラックに乗り、コンビニへ荷物を運んでいます。

僕は子どもの頃、オニヤンマが大好きでした。

北陸の田園地帯で育ったのですが、オニヤンマは平野部ではそれほど見かけません。

だから夏休みに母方の実家がある新潟の山奥へ行くのが楽しみでした。

林道を歩いていると、突然目の前を黒と黄色の巨大なトンボが飛んでいく。

それだけでテンションが上がります。

今でも忘れられない光景があります。

山道を歩いていたとき、一匹のアブらしき虫が横切りました。

次の瞬間。

バシッ!

オニヤンマが空中で捕獲。

そして何事もなかったように飛び去りました。

僕はただ口を開けて見送るだけ。

もう40年以上も前の記憶ですがいまだに忘れられません。

まるで空飛ぶ戦闘機でした。


オニヤンマは昆虫界のエリート

オニヤンマは日本最大級のトンボです。

飛行能力は抜群。

視力も抜群。

獲物を見つければ空中で捕まえる。

群れず、頼らず、一匹で広い範囲を飛び回る。

さらにヤゴ時代は数年間も水中で暮らし、十分に力を蓄えてから空へ出ます。

いわば、

「長い下積みを経て、高い能力で勝負する単独行動型エリート」

です。

もし昆虫界に就職説明会があったら、

「求む即戦力」
「高い自己管理能力」
「単独で成果を出せる方歓迎」

などと書かれていそうです。

正直、何のとりえもない僕はその時点で帰りたくなります。


氷河期世代はなぜオニヤンマ型が苦しいのか

オニヤンマの戦略を人間社会に置き換えるとこうなります。

  • 資格を取れ

  • 常に勉強しろ

  • 人脈を広げろ

  • 行動範囲を広げろ

  • もっと努力しろ

書店にずらりと並んでいる自己啓発本に、だいたいこんなことが書いてあります。

もちろん若くて体力も時間もある人なら有効でしょう。

でも50代のトラックドライバーが、

夜中に配送して、

朝帰宅して、

親の介護を心配しながら、

さらに資格の勉強をして、

副業を3つやって、

ジムに通って、

交流会にも参加する。

そんなことをやったらどうなるでしょう。

たぶん僕は親より先に過労で神に召されるでしょう。


「もっと頑張れ」は万能薬ではない

氷河期世代は子どもの頃から、

「努力は必ず報われる」

と教えられてきました。

ところが社会へ出たら、

就職口がない。

給料は上がらない。

正社員になれない。

結婚も難しい。

気が付けば50代。

ゲームなら明らかに難易度設定がおかしい。

初心者にはクリアできない。

なのに世の中は今でも言います。

「もっと頑張れ」

いやいや。

30年頑張ってきたんですが。

むしろ僕らは、

頑張りすぎた結果として今ここにいる人も多いのです。


オニヤンマ型の最大の弱点

オニヤンマ型には欠点があります。

それは孤立です。

自分の能力で突破する。

誰にも頼らない。

全部自分で解決する。

若いうちは格好いい。

しかし年齢を重ねると話が変わります。

病気。

介護。

失業。

老後。

これらは一人で戦うには重すぎます。

僕たち氷河期世代は、

  • 未婚率が高い

  • 地域とのつながりが薄い

  • 親の介護が近い

  • 年金不安がある

という状況です。

もともと孤立しやすいのに、さらに「全部自分でやる」を追加すると、かなり危険です。

人生はRPGです。

しかし50代以降はソロプレイよりパーティー戦のほうが有利です。


氷河期世代はアキアカネ型でいい

僕が参考になると思うのはアキアカネです。

アキアカネは真夏になると涼しい高地へ避難します。

そして暑さが和らぐ秋に戻ってきます。

つまり、

「勝てない環境では戦わない」

のです。

人間で言えば、

  • ブラック企業を辞める

  • 出世競争を降りる

  • 無理な残業を断る

  • 休む

ということです。

氷河期世代は逃げることに罪悪感を持ちがちです。

でもアキアカネに言わせれば、

「暑いのにわざわざ下界で消耗する意味ある?」

となるでしょう。

ぐうの音も出ません。


ギンヤンマ型も悪くない

もう一つ参考になるのがギンヤンマです。

池だけでなく田んぼや水路など複数の場所を利用します。

一か所に依存しません。

人間なら、

  • 本業

  • 投資

  • AI活用

などを少しずつ持つイメージです。

月5万円の副収入で人生が激変するわけではありません。

でも心の余裕はかなり違います。

会社だけが世界になると、その会社が傾いた瞬間に人生まで傾きます。

だから複数の池を持つ。

これは氷河期世代にとって重要な考え方だと思います。


格好よさより持続可能性

オニヤンマは今でも大好きです。

見かけるとテンションが上がります。

でも憧れと模倣は別です。

僕たちに必要なのは、

空を支配する強者になることではなく、

老後まで飛び続けること。

全部を一人で背負わない。

無理な場所では戦わない。

小さな収入源を複数持つ。

人とのつながりを切らさない。

助けを求める。

そんな生き方のほうが、2040年以降の長い人生には向いている気がします。

オニヤンマのように高速で飛ぶ人生は格好いい。

でも燃料切れになったら墜落します。

だったら僕は、

アキアカネのように風を読み、

ギンヤンマのように居場所を増やしながら、

そこそこ元気に飛び続けたい。

氷河期世代に必要なのは英雄ではありません。

生存者です。

をちぶれて それでも飛べと オニヤンマ